ペン回し講座 | 上級者向け

FSを組める人、スピナーとして活動し始めた人向けの講座です。

このページを見ているということはすでにFSを組む事ができ、コテを持ってスピナーとして活動していると思われます。もしかしたらFSは組めるけど固定HNを持っていないという人もいるかも知れませんね。まだFSを組めないという人は中級者向け講座のページを御覧ください。

良質なFSの組み方

このページで説明することは管理人独自の考えに基づくもので、多くのCVに出演経験がある方には退屈な内容になると思います。また、ここでいう良質なFSとはバランスのとれた見栄えの良いFSと同義です。

良質なFSを組むためには技術面と芸術面の両方を考慮しなければいけません。

技術面とはFSの構成のことです。具体的には、技の選択・技の配置・軸移動などです。芸術面とはFSの見た目のことです。具体的には、技の完成度・緩急・指/手首/腕使いなどです。

技術面

それではまず技術面考慮してFSを組む方法を説明します。

FSの内容を大きく分けると

  1. 始動
  2. 中盤
  3. 締め

の3つに分けられます。さらに細かく分けると

  1. 始動
  2. 繋ぎ(始動~中盤)
  3. 中盤
  4. 繋ぎ(中盤~締め)
  5. 締め

の5つに分けられます。この5パートの内どこに見せ場を持ってくるかが第一ポイントになります。

見せ場の配置

ではどこに見せ場を持ってくればいいでしょうか。撮影を考慮すると始動または締めに持ってくるのが楽です。しかし始動に見せ場を持ってくると、FSを見終えた後に見せ場の印象が薄くなってしまいます。逆に締めに見せ場を持ってくると、締めまでが退屈に感じてしまいます。では中盤に見せ場を持って来ればいいのでしょうか。

随分と極端に語ってしまいましたが、要は見せ場をどこか一箇所に入れるという概念をなくすことが大事なのです。見せ場のインパクトにもよりますが、上で述べた5つのパートの内最低でも2箇所に見せ場を作ることが望ましいです。

例えば中盤にややインパクトのある技を入れ、締めにさらにインパクトの強い技を入れるといった感じです。

さらに質を高めるには、見せ場以外の繋ぎの部分も手を抜かずに捻ったコンボを入れることです。これが第二ポイントになります。

繋ぎ技

見せ場の配置については前述したとおりです。では見せ場と見せ場をつなぐ技、通称繋ぎ技をどのようにFSに組み込んでいけばいいか説明します。

繋ぎ技の印象を良くするためには、技そのものの完成度を上げるか一工夫加えた技で繋ぐかの2通りです。

技そのものの完成度を上げるとFS全体の見栄えがなめらかになります。これは芸術面の要素なので後ほど説明します。

つなぎ技に一工夫加えるにはピボット技を組み合わせて使う方法が効果的です。

ピボット技とはスリップトソニックフラッシュソニックのような、隣り合っていない指でペンを挟んで回す技のことです。複雑な指の動きをする技とも言えます。

このようなピボット技とパス系統の技を組み合わせて繋ぎに使うと、より完成度の高いFSになります。最近ではパワーパスとの組み合わせが流行っています。

ピボットを使う以外には手の返しをうまく利用したり緩急をうまくつける方法がありますが、ここでは説明しません。

軸移動

FSは必ず軸移動を伴います。良質なFSを組むにはバランスの良い軸移動が必要になります。

例えば5軸を使う技が苦手だと、無意識に5軸を避けるFSを組んでしまいます。4-ソニックひねり、4-シメトリカルソニック、5-シメトリカルバックアラウンドリバースなどを習得して5軸への抵抗をなくしましょう。

逆に5軸が得意で5軸の技を多用すると1軸を使った技が少なくなってしまうかもしれません。使う軸が偏らないように注意しましょう。


以上の技術面を考慮して私が撮影したFSがこちらです。


見せ場は中盤の第一関節でペンを挟むハーフウィンドミル>>ノーマルと締めのスパイダースピンです。繋ぎ技にはピボットを多用し、軸移動もバランスよくさせています。

芸術面

技術面に関しては前述の通りです。細かいことを言えば他にもありますが、あくまで私個人の考えなので後は自分なりに考えた方が良いでしょう。次に芸術面を考慮してFSを組む方法を説明します。

技の完成度

同じ内容のFSをするにしても、個々の技の完成度が高いほうが望ましいでしょう。個々の技の完成度が高いとFS全体としての見た目がなめらかになり、技の完成度が低いFSとはまるで別物になります。

では技の完成度はどのようにして上げればいいのでしょうか。

答えはひた錬に限ります。長い時間をかけて技一つ一つの完成度(熟練度)を上げます。特に単体技の完成度を上げることが重要です。どうしても見た目の派手なスプレッド系統のコンボバックアラウンド系統のコンボの練習をしたがる人が多いですが、基礎がしっかりしていないうちに大技を習得してFSに取り入れると見た目がボロボロになってしまいます。一つ一つのピースがボロボロのパズルは完成してもボロボロの絵です。大技は後からいくらでも習得できますし、大技が無くても基礎技が完璧なら良質なFSを組むことができます。しかし逆はそうは行きません。基礎技を後から習得しようとしてもモチベーションは上がらず、大技のみでFSを組んでも良質なFSとは言いがたいです。

まとめると、技の完成度を上げるにはひた錬で、まずは単体技(基礎技)の完成度を上げるということです。

緩急

FSの構成も技の完成度も十分になると、次は緩急によるアクセントが欲しくなってきます。緩急つけるというのはFS中のコンボを速くしたり緩やかにしたりするということです。

FSに必ずしも緩急が必要かというとそうでもなく、緩急をつけずに回す方が合っている構成もありますので、緩急をつけるかどうかは自身で判断する必要があります。

緩急の”緩”をつけるには、FSの中のある部分のみをゆっくり回します。手っ取り早い方法はウィンドミル系統の単体技ウィンドミル系統のコンボを取り入れることです。ウィンドミル系統の技はソニックやアラウンド系統の技に比べてゆっくり回しても違和感が目立ちません。

緩急の”急”をつけるには、FSの中のある部分のみを速く回します。初めから全体的にゆっくり回し、ある部分のみを通常の速さで回すという方法でもいいと思います。

また、緩急のつけ方には切り返しを使うという方法もあります。一定の速さで同じ向きに回転する技を多用し、その流れを今までとは逆回転の技(切り返し)で止めるという方法です。切り返しの技を速くしたりゆっくりしたりすることで緩急をつけます。この方法は非常に便利ではありますが、無計画に多用すると目障りに感じてしまうことがあるので注意が必要です。

FSにおいて緩急とはいわば調味料的なものです。初めのうちは無理に緩急をつけようとはせず、何か足りないなと思ったら少し加える程度でいいかもしれません。また、毎度同じ箇所に同じ緩急をつけていては毎度同じFSに見えることもあります。緩急の付け方・種類を増やすと更に質の高いFSになることでしょう。

指/手首/腕使い

ペン回しのフリースタイルを撮影するときはカメラに手と手首、最近では腕全体が映ることもあります。ペンを回している指だけがカメラに映るわけではありません。ペンを回していない指の形にも配慮すると、より見た目の良いFSになります。

指使いの上手いスピナーにMakin氏NIKoo氏が挙げられます。指を伸ばしたり曲げたりするタイミングが非常に上手いです。

指使いの上手い下手はほとんど天性のものなので、特に意識しないで上手な指使いが出来る人もいれば、意識しても下手な指使いになってしまう人もいるかと思われます。それでも指のストレッチや矯正などである程度の改善はできますので、自分の指使いが気に入らない人も努力して見る価値はあると思います。

手首使いとは主に手の返し方(手の向きの変え方)のことです。ずっとカメラに同じ手の面を向けて回していてはとてもつまらないFSになってしまいます。掌を見せたり甲を見せたりと見せる向きを変えることも重要です。

手の返し方には様々な方法があります。いろいろな方のFSを見て研究するといいでしょう。

腕使いは少し特殊になります。腕使いのすごいスタイルの先駆者にPyralux氏、最近活躍している方ではSnow氏が挙げられます。

このように腕の動きが激しいFSの場合は腕使いも考慮する必要があります。


良質なFSを組むためには上記の技術面と芸術面の両方を考慮する必要があります。しかしFSにおいてこれが全てではありません。全く違う方法で良質なFSを組む方もいらっしゃると思います。ペン回しの技術を磨いていき、自分なりの考えを持ってFSを組んで評価を得られれば、それが自分に合ったFSの組み方だと思います。

お疲れ様です。以上で上級者向けのペン回し講座は終了になります。後は存分にペン回しを楽しんでください。(2012年執筆)